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2012年12月 2日 (日)

春日井市立出川小「学習指導」研究発表会(授業編)

 授業は、45分間1校時の公開だったが、できる限り見て回ることにした。

 最初に感じたことは、学習の規律が大変行き届いていることだった。それも、いくつかのクラスだけではなく、全校が一体となって一貫した指導を行っていることが感じられた。全校が「凛とした雰囲気」に包まれていた。

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 どの学級でも挙手の手はピンと伸びていた。一斉に立ち上がるときも、ほとんど椅子の音がしない。ノートは、板書と一体化していて、学習課題が板書されると、子どもはノートに書くという行為が自動化していた。

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 出川小の研究発表会は、公開研のための特別な授業ではなく、日々積み重ねている日常の実践の公開を目的としていた。習得を中心とした授業、活用を中心とした授業、本時に習得したことをさらに活用する授業の3つに分類して公開されていた。

 

 

《始業前の様子から》

 授業が始まるまでは、低学年では読み聞かせを行っている学級が多かったが、ICTで本を大きく映し出して読んでいるので、どの学級の子どもたちも、大変落ち着いて集中していた。

 残った時間を活用して、フラッシュカードで九九の振り返りを行っていた。ICT一辺倒ではなく、必要なときにはアナログな教材もちゃんと活用する。便利なときには便利な方を使えばよいという構えに、ICTもそれら教具の一部と捉えていることが感じられた。

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《習得する授業の様子から》

 出川小では、習得の授業を、教師主導ですすめ、短時間に効率よく全員が確実にわかる指導を行う授業ととらえていた。

 そのために、ICTを活用し、大きく見せることで学習しようとすることの焦点化を図ったり、教科書を徹底的に分析し、全員が確実にわかるようになるための指導のスモールステップ化を行ったりしていた。

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【3年算数】重さ(習得&活用)

 計るものによってどのはかりを使えばよいかの見通しを持ち、重さを予想した上で、それらのはかりを適切に使って重さを量れるようになることをねらいとした授業だった。

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 本時に量るさまざまなものの提示、どのはかりを使えばよいかの選択の仕方、ばねばかりのめもりの読み方など、前半は教師主導でどんどん教えていた。

 バットを量るのにヘルスメーターを使ってみるなど、違った組み合わせをわざとやってみることで、どの組み合わせがよいのかを考えて選択することが重要だとおさえていた。

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 この学級では、入り口に下のような掲示があり、教室に入る度に、はかりの目盛りを読むようになっていた。こうした環境を作っておくことも、習得することは当たり前、という意識を高める手だての一つだと感じた。

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【4年社会】きょう土を開く(習得)

 4年生担任である自分も、最近まで取り組んできた単元なだけに、高い関心をもって参観した。

 この学習では、郷土に眠る様々な先人の工夫を調べながら、先人の工夫や努力が今のわれわれの生活を支えていることに気付くことがねらいになる。実際のその場所で見学しながら調べられれば、それに越したことはないが、遠方であったり人数が多かったりで、なかなか小回りをきかせて校外学習に出ることは難しい。

 ICTは、こんなときにバーチャルに体験する機会を与えてくれる。

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【5年社会】工業生産と貿易(習得)

 日本では、どのような工業原料を輸入しているかを、教科書のグラフから調べて理解していく学習だった。この学級でも、ノートに記録することを想定した、構造化された板書が工夫されていた。

 板書をそのまま写すことに対して、画一化されすぎているのではないかという批判がある。しかし、板書をそのまま写すことさえできない子どもに、思考を深める活動が主体的に行えるとは、考えづらい。

 もし、書き写せないのが、教師の書く板書が混乱しているせいだとしたら、教師自身の指導を見直した方がよいだろう。視写できるまで鍛えられてないとしたら、適切な指示や説明を受けながらノートの書き方を習得できる段階が必要である。その段階を経て、まだ身につかないとしたら、その子どもに対しては、特別な支援を考える必要がある。

 学習には、教科に関わる内容の学びと、学習方法の学びがある。この学級では、学習方法が身についているからこそ、短時間での習得が可能になっていると感じた。その結果生み出された時間に思考する活動を埋め込むことで、思考力、判断力、表現力を身につけることも可能になると思った。

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 習得の授業では、教師がどのような課題を投げかけるかが、全員が確実に習得する上での肝になると思った。発問・指示が明確であること、そして学習の展開がスモールステップで階層化されて考えられていることが、習得する上で重要だと感じた。

 そのときに、子どもの反応に対して、「その通り」「正解」と教師が求めていた回答であることをあからさまに示して返すよりも、「へぇ、そうなんだ」「みんなそれでいい?」と柔らかく受けとめて「だから、~なんだ」と子どもたちに返しながら次につなげていく声がけの方が、より取得できているように感じた。

 教師が正否を判定するのではなく、子どもが自分自身で正否を判定するような言葉がけを繰り返す。そうすることで、いわゆる一問一答式の授業にならず、教師がすべての子どもとコミュニケーションしながら授業が進むし、子どもたちは、自分の力でわかったような気持ちで習得していける。

 

 出川小では、このような、授業場面に即した教師の言葉がけを整理していた。これは、初任からベテランまで、誰にとっても役立つ大変価値の高い資料だと感じた。

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《習得したことを活用する授業》

 

【2年算数】三角形と四角形(活用)

 教科書に示されたたくさんの図形を三角形と四角形に分類した後、自分でも三角形や四角形を作ってみる学習だった。

 本時は、活用を中心とした学習であったが、その発問や指示がスモールステップ化されていて、全員が確実に活用できる展開が工夫されていた。

 導入では、フラッシュ型教材を活用して、三角形や四角形の定義を確認していた。 

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 板書された学習課題を子どもたちがノートに試写したところで、今度は、一斉指導の中で、「三角形を見つけるために大事なことは何でしょう」と問いかけた。この発問で、子どもたちは、見つけるポイントをキーワードで発言していたが、そのキーワードは、フラッシュ型教材で示された三角形の定義から導き出された。

 子どもの発言と黒板の図解とで、もう一度三角形、四角形の定義を確認してから、ようやく学習課題について考えていた。 

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 「ここまで連れて行ったら全員が考えられる」というところまで連れて行いくことで、全員がすーっと考えることができていた。

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 活用して考えるというと、とかく、自由に何でも考えてよいと思いがちだが、ポイントを絞り「この中で」という縛りのある中で考えた方が、全員が学習のねらいに即して深く考えることができるのだと感じた。

 出川小では、子どもたちがICTを活用して表現する場面も日常化していた。習得したことを確かに活用し、全員が同じ視点で思考を深めているからこそ、互いの考えを共有しあえるのだと思った。

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 子どもたちが作成した三角形を提示して発表した後、最後に教師が、定義に当てはまらない三角形をわざと書いて見せて、どこが当てはまらないのかを確認していた(今日の場合は、辺の一つがフリーハンドの非直線だった)。

 子どもたちが、練習問題にまで取り組んで45分で完結する見事な授業だった。

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【3年理科】じしゃくにつけよう(活用)

 じしゃくにくっつけた2本の釘が、磁石を話してもくっつき合っていることから、釘が磁石になったのかを予想し、調べる方法を考えて説明する学習だった。いきなり実験するのではなく、予想の段階で理科的思考を促すことを意図していた。

 

 導入では、以前の実験から磁石につくものを発表し、さらにフラッシュ型教材で、磁石につくものを確かめた。その後、本時の活用する磁石の性質(鉄につく、同じ極同士は退け合う、など)を確認し、黒板に提示した。

 磁石と釘を使った教師実験をICTで見て、磁石が離れても2本の釘が離れない様子を確かめたのち、子どもたち自身も実験を行い同じ様子を確認した。

 ICTの拡大による演示が行われたので、子どもたちは混乱することなく実験に取り組むことができたようだ。

 この段階で、くぎが磁石になっているかどうかをまず予想したが、なっているか、なっていないかの立場を明確にし、ノートに記述した。理由は、かける子どもだけ書いてもよいと告げていた。

 

 ここまできて、ようやく学習課題「磁石になっているかどうかを調べる方法を考え、説明しよう」が示され、子どもたちは、課題をノートに書いた後、思考活動に入っていった。

 本学級でも、本時の導入で確認した知識を活用したら考えられる段階まで、子どもたちを連れて行ってそこで手放す、という指導の手順が見て取れた。

 見本をもとにノートへの記述の仕方が示されているなど、子どもたちは、細部まで細かく指導を受けているのだが、子どもたちには、「自分たちは、磁石になっているかどうか調べる方法を考えている」意識だけがあり、深く思考する学習が成立していると感じた。

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 この授業の中では、後半に、児童が自分の考えた方法を発表する場面があった。児童の発言に対し、「今ので実験できそう」と返すなど、子どもたちが互いの発言を聞き合うような細かい言葉がけが随所に見られた。

 言葉がけ集には、考える場面での言葉がけも示されていた。学習の中で児童に言葉をかけるときに、どんな場面があるかを整理していることも、大変に価値があると感じた。

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 ひとつひとつは短い言葉であるが、その小さな積み重ねが、最後には大きな違いをもたらす。言葉の小さな違いで、子どもたちが自ら習得したり、自ら考えたりしているという意識をもてるかどうかが左右される。逆を言えば、教師がそういう言葉の違いを明確に意識することで、自ら考える子どもが育つということだろう。

 

 活用の授業では、子どもたちが考えられるように、前時までの内容を振り返り、考え方の方向性を示し、子どもたちが「これなら考えられる」「もうすぐに考えたい」と思えたところで手を放す、という手法が随所で見られた。

 また、活用の授業であっても、その手順は明確にスモールステップ化されていた。自由に考えるのではなく、「このことを考える」と明確に示されているからこそ、子どもたちは学習のねらいに即して考えを深めていた。

 「全員を連れて行って、手を放す」という感覚を教師自身がもてるかによって、活用の授業が成立するか否かは決まるのだと感じた。

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【学習規律の指導】

 出川小では、全校が一体となって、学習規律、学習スキルの指導を行っていた。学年ごとに指導内容が系統化され、明示されていることが素晴らしいと思った。

 

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 教室内には、声のもの差し、発表の仕方が明示されていた。

 学習を効率よく合理的に進められるように、机の上のノートと教科書の位置が書きやすく見やすいように決められていた。ペンケースの中身は鉛筆5本、赤青鉛筆1本、消しゴム、ミニ定規と決められており、どの児童に対しても指導が行き届いていた。

 鉛筆を正しく持っている子どもも多く見られたように思う。

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 板書に統一感があるのも印象的だった。日付を書いたら子どもたちも書く、系統的・体系的で見やすい板書を行うなど、板書のルールが教師全員で共有されていた。

 毎時間使うだろうノート指導のポイントを、写真のように日常的に掲示できるようにして、子どもたちに整理されたノートづくりを意識づけていた。

 線を引くときには、教師ももの差しを使うなど、かつて山室中部小でも大切にしていたことが、出川小では、確実に実践されていた。

 

 

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 学習規律、学習スキルを全校で統一することによって、子どもたちは、学年が変わっても学級が変わっても、混乱することなく一貫した指導を受けることができる。年度が改まっても、すぐに日々の活動に入ることができる。

 最近、学習規律を大事にし、学校で統一した内容を決める学校が増えてきているが、決めることよりも、それを本当に全校で統一して取り組むことは、実はかなり難しい。

 お題目にならず、実際に本当に学習規律の一貫した指導を行うことができれば、その一体感が学校に落ち着きを生み出し、学習態度もまた落ち着くのだ。そのことは、かつての山室中部小公開研でも示すことができたし、今回、出川小公開研を参観して、さらにその思いを強くした。

 「決めること」よりも「本当に実践すること」の方がより重要だ、ということだ。

 

 

 出川小では、かつて公開研を行ったときの山室中部小が「1年後にあるべきだった姿」を見ることができたように思う。出川小のエッセンスを取り入れることで、今からでも、その姿に近づけるように、職場に働きかけていきたい、と思ったのだった。

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コメント

 出川小の公開研はとても素晴らしかったけど、1時間の授業公開をここまで考察できるとは。堀田先生の講演をきいているみたいでした。
 学び直しをしています。それにしても、こんな分析に耐える公開研だったのですね、出川小は。
 ありがとうございました。

たろうっこさん、出川小ではお世話になりました。
たろうっこ先生のブログも、そのホットさに圧倒されました。
これだけの思いをもてるというのは、
すごいことだなと感心するばかり。
 
なんだか刺激を受けて、おずおずとですが、
自分のブログの更新頻度も上げていくことにしました。
忙しいときほど、忙しくする。という気持ちで、
アグレッシブになろうと思います。
 

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