とうとう、公開研究会当日となってしまった。
夕べから激しい雨模様だったが、気温はさほど下がらず。駐車場となるグラウンドの状態は、駐車した先生方の印象を左右するから、心配だった。
午前は、しばらく雨があがり、池のようだったグラウンドから、かなり水が引いていった。最悪の天候かと思ったがこれは朗報。そう言えば、晴天よりも曇天の方が、ICT的には良い日和だ。
午前中は、3限目まで授業。10:30頃来校した堀田先生、高橋先生が、校内を一巡しつつ、ちらちら姿を見せる。月曜の連絡を連絡を済ませ、給食が始まった11:30頃には、グラウンドに来校者の車がぽつぽつ。体育館にも県外の参観者の姿が目立ち始めた。
給食後は清掃。休憩に入った13:00頃には、教室にも参観者がぼちぼち入り始める。結局、基礎学力のモジュールが始まる10分前には、教室内も廊下も、人でぎっしりになってしまった。
13:30~、基礎学力のモジュール学習。4年4組は、教科関連と言うことで、社会科の内容。県内の市町村を、フラッシュ型教材で確認。東日本の都道府県を、フラッシュ型教材で確認。
次に、東日本の都道府県名を4分でプリントに書き込む。漢字は全員が一通り覚えているので、ここでは、速書きを基本とする。今はまだ、地図帳を横に置いて、場所と件名を参照できるようにしているが、すでに、見なくても書ける子供の数はかなり増えている。
プリントは、表裏と同じ内容になっている。表の答え合わせをして、裏に挑戦。今度も、4分以内。1回目と2回目でタイムが縮んだかどうかを確認して終了。場所と名前を覚えれば、当然タイムは詰まる。自分の中でどれだけタイムを縮めていけるか(=正しく県名を覚えていけるか)が、成長の目安となる。
教科関連のモジュールは、今年度からの取り組みで、現在、試行錯誤中。改善しつつスタンダードな指導法が見つけられるとよいと思う。
10分間の休憩の後、13:55~、公開授業。授業の概要は以下の通り。
学年は、4年生。教科は、社会科。単元は、富山県の様子
県内の主な自然や地形の特徴、県内の主な土地利用の様子と特徴のある産業、県内の主な交通機関といったことを、知識として習得する単元だ。
その過程で、地図や資料を読み取る能力、それらを使って適切に説明する能力、富山県の特徴をどうとらえるかという社会的思考力、などもあわせて育てていく。本時は、その単元の最終時間(5/5時間)だった。
-------------------------
本校では、短時間に効率よく学力を高めるための習得型の授業について研究してきた。これまでに、その展開パターンはいくつか見えてきている。(4年4組の算数「分度器での角度の測り方」は、 その展開パターンに則った、典型的な習得型の学習だった。)
しかし、自分に課せられたのは、「次年度に向けて、活用型の授業を示すように」というオーダーだった。活用型の授業で、しかも、追試可能な汎用性のある展開で、それを発問と指示を明示した指導案に示す。そしておそらくそれは、これからの山室中部小の活用型授業のモデルになる。
わたしには、相当難度の高い課題だった。ギリギリまで悩んでいたが、堀田先生の三重でのアドバイスも受け、指導案を大幅に変更することにした。
-------------------------
この単元の後は、富山県の山に近いところのくらし、海に近いところのくらし、平地のくらしの、3つの単元につながっていく。それぞれの地形を生かした産業の特徴を、詳細に調べて分かっていく単元になる。従って、本時は、次の単元へのつなぎにもなる内容にしたいと考えた。
本時は以下のような展開だった。
1)フラッシュ型教材で県内の主な交通機関を振り返る
高速道路、主な国道、JR、私鉄の名称と位置を確認した。地図には、市町村名が書き入れられており、常に、どの市町村をつないでいるかが、意識できるようにした。
2)県外からの富山の良いところを紹介してほしいという手紙を読む
自分が東京出張でお世話になっている「先生の先生」である“山田学先生”から、富山県を紹介してほしいという手紙が届いた。みんなに、相談に乗ってほしい。という話から、授業はスタートした。この手紙が本時の「肝」だった。
3)宇奈月温泉、砺波チューリップフェアへ行くための交通機関と経路をたどる。
速さ、風景の良さ、乗り換えの少なさなどから、選択肢がいくつかある。既習経験を生かし、どのルートを選ぶか考える活動だった。わたしとしては、他の場所だったらどうかも考えたが、この場所を選択した山田先生の指示は、いろいろな条件を考えると、絶妙だった。
4)山の中の景色の良いところ、魚のおいしいところを考え、ノートに書き出す。
その場所を選んだ理由も書く。ホタルイカ、ブリなどの海産物、トロッコ電車などの観光資源を理由としてあげていた。
5)選んだ場所までのルートを考える。
体験が乏しい子供や、既習事項を生かすのに困難を感じる子供でも、場所を決められるように、まず、椅子だけを動かしてグループとなり、どの場所を選んだか紹介しあった。おかげで、全員が場所を選択できた。
次に、椅子を戻して、各自で、地図を見ながらルートを考えた。
6)どの場所を選んだのか、どのルートをたどったのかを発表した。
魚のおいしいところとして
・滑川-ホタルイカ
・氷見-ブリ
・魚津-地名に「魚」が入っているから
山の景色の良いところとして
・黒部峡谷-トロッコ電車 宇奈月温泉が近い
などがあがっていた。どの目的地へも、ルートが複数あるが、子供たちは、活動3)のように理由をあげて、さまざまなルートを選択していた。
一方で、魚津は本当に魚がおいしいのか(地名で判断して良いのか)、黒部峡谷はどこにあるのか、といったあたりが疑問として残った。
7)山の近く、海の近くのことで、もうちょっと知りたいことをノートに書く
次単元へとつながる課題を書き出しておしまい。
-------------------------
授業では、「宇奈月は黒部市にあります。」「砺波はどこですか」と問うだけで、すぐにその場所を見つけていた。
5)でルートを選ぶとき 6)で友達の選んだルートを聞くときなど、「こうやって行ける」というつぶやきが漏れていたところで、既習事項が生きているなと思った。
場所を選ぶときも、山の景色のよいところ、魚のおいしいところは、地形の特徴が分かっていなければ、選べないし、選ぶ理由にも、土地利用や産業の特徴の知識が必要でした。
発表では、地図を適切に活用する力が試された。全体に、これまでの学習経験が、活用された授業になったのではないかと思う。
また、学習のスモールステップの刻み方で、はじめは低くて長い時間をかけるステップから、だんだん高くて短時間のステップへと移行していく学習展開も、実践できたのではないかと思う。これが、できるできないは、ずっと自分の課題でもあった。
-------------------------
もちろん、反省もある。
○活動2)3)で手紙を読むのや、 宇奈月の位置を確かめるなどに時間がかけすぎたため、ややテンポ感が薄れてしまった。
ここで時間をつめれば、後半でもっとゆったりできた。もう少し、教師主導で確かめていっても良かったと、今になって思っている。
○活動6)ではもっと子供をゆさぶる発問をしてもよかった。
ブリはいつの時期捕れるのか、氷見でしか捕れないのか、富山で捕れる魚は、ブリとホタルイカしかないのか、 山の良いところは、黒部だけなのか、といったことを問いかけることで、 次につながる疑問がもう少し書けたのではないかと思う。
○黒板の整理の仕方
皆川さんは、構造的とほめてくださったが、 いくつも抜けがあったり、バランスが悪かったりと、いまひとつの観がある。わたしは、自分では、整理してノートを書けない子供だったので、今、担任している子供たちには、そうなってほしくないと思う。ノートしやすい板書は、これからも心がけていきたいところだ。
○手紙とのつながりのおさえ
6)から、7)の疑問を見つける活動に移るとき、手紙への返事としては、十分かをもうちょっとおさえてから書くようにしたらよかった。ノートには、概ね本時のねらいに沿った内容で書かれていたが、もう少し明確にそのことを言ってから書いたらよかった。
-------------------------
まだまだありそうだが、今後また、じっくり、振り返っていきたい。
それにしても、あの顔ぶれの中で授業をするのは、身を切られる思いだ。みなさんも体験してみると良い
。
わたしも本校も、まだまだ修行中の身。来年度の本校の研究会にも、みなさんの応援がいただければ、幸いに思う。
子供たちを帰したところで、全体会。会場には300の椅子が並べてあったが、とても足りずに、100ばかり追加。職員が座っていた数を引いても、350名あまりの人が、全体会に参加された。
石黒さんが、研究概要を報告。13分ほどで、研究の経緯やねらいを、遺漏なく完全に伝える見事なプレゼンだった。
続いて、陰山英男先生@立命館大の迫力に満ちた講演。
締めくくりは、堀田先生をコーディネータに、陰山先生、高橋先生@富山大、杉田校長をパネラーにした、ディスカッションを行った。本校の取り組みの意図、基礎学力の向上という観点、ICT活用という観点からのコメント、今後の方向性などが短い時間で明らかになった。
豪華な講師陣とたくさんの参加者に支えられた公開研だった。内容としての密度はかなり濃かったと自負しているが、参加のみなさんには、満足していただけただろうか。
最近のコメント