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読書生活

2013年3月24日 (日)

授業づくりの教科書 国語科授業の教科書(野口芳宏)

 国語科で教えるべきことは何なのかを具体的に示した1冊。国語の読解にも正解があるのであること、内容のよさと形式のよさを明示的に学ぶこと、などなど。野口節全開で、その明解さは、胸が空くほど。

 途中、国語の授業を離れて、机間巡視の在り方、よい発問の見つけ方などの話題も混じっているが、そこはそこで、授業づくりの基礎の基礎として、大変役立つと思う。

 確かな教育技術を身につけたい方に、おすすめの一冊。

2013年2月10日 (日)

まともな日本語を教えない間違いだらけの国語教育(有元秀文)

 とてもエキセントリックなタイトルだが、中身もまたエキセントリック。でも、それでいて、単にあおるだけでなく、国語科に必要な視点を明示しているところに、とても共感できる。

 

 国語の授業は、他教科に比べて圧倒的に時数が多いが、一方で、国語科で何を学んだの?と問われると、一番答えにくい教科でもある。

 筆者は、元文化庁文化部国語調査官・国立教育政策研究所総括調査官なのだが、そういう現実を憂えていることはよくわかる。文学作品の解釈に終始する国語授業に対して、国語科として身につける力を明示し、それを確実に身につけることの重要性を感じているのだと思う。

 前後に文脈を無視した(わざと?)教科書の引用など、つっこみどころ満載な記述もあるが、国語教育を憂える姿勢には共感がもてる。

 実際の指導法に関して、ブッククラブを取り上げているが、それを受け入れるかどうかは、読み手次第ということで。

 

2013年1月 4日 (金)

鉄・病原菌・鉄(ジャレッド・ダイアモンド)

 筆者は、もともと生物学者だが、自分が調査研究のために訪れたニューギニアで、「同じ人類でありながら、富と権力がかくも不均衡なのはなぜか。そもそも、なぜ人類は、こんなにもそれぞれの大陸で違った歴史を歩んできたのか」という疑問を突きつけられ、それをさまざまな視点から考察した上下巻。

 現在、栽培されている穀物は、有史以前の人類がありとあらゆる種類の植物を試したあげくに、現在のものに絞られてきたこと、家畜にしても、何万とある種類の中から試行錯誤したあげくに現在飼われている種類に落ち着いたことなどが、具体的な事例を挙げて説明する。

 馬の仲間は、おとなしくて家畜に向くが、シマウマは凶暴なので、乗りこなすことができないなど、種としての性質がはっきりあることが、分かりやすく示されていて興味深い。

 穀物にしても、主な穀類は○種類で、それらが長い歴史の中で、より粒が大きく収量の多いものに淘汰された結果が、現在のものであること。

 それ故、今さら新しい種類の穀物が発見されて、劇的に世界に広がる可能性はないことなどなど。生物学者の視点を交えて文明論が、結構おもしろいのだ。

 そして、文明の伝搬には、緯度とそれによる気候の違いが多大な影響を与えていること、気候が似通った同緯度帯では、文明は伝搬するが、南北に長いアフリカや南北アメリカでは、気候による環境の違いのため、ほとんど伝搬しなかったことなど、とにかく読むほどに知見の広がる本だった。

その未来はどうなの(橋本治)

 歯に衣着せぬ評論や、独特な文体による古典の現代語訳でも知られる作家が描く未来図。テレビやドラマの未来から、果ては、TPP、経済、民主主義の未来まで、洒脱に語る。

 答えが出るわけでは(当然)ないが、橋本氏と一緒にぼやくのが面白いかも。

2012年12月25日 (火)

鉄道会社はややこしい(所澤秀樹)

 羽田から、京急で品川行きを利用することがよくある。路線は京急だが、京急の車両に乗ることはあまりない。

 羽田と成田をつなぐこの路線に走る車両は、京成電鉄だったり、北総鉄道だったり、芝山鉄道っていうマイナーなのまであって、実に多種多様。いったい、どういう仕組みで相互乗り入れを行っているのかを紐解いてくれるのが本書だ。

 メトロは、路線によって、線路の幅が違っていて、それは、どの会社と相互乗り入れするかによって、決まってきたのだとか。映画「交渉人・真下正義」で、地下鉄(東京トランスポーテーションレイルウエイ)内を走り回った暴走列車がフリーゲージトレインだっていう設定も、この辺りの経緯に忠実だということになる。

 そういうことが気にならない人は、全く読む気にならないかも知れな。とはいえ、小さなことにも「なぜ」って思える人は、ぜひ読んでみるとよい。

星を継ぐもの(J・P・ホーガン)

 翻訳SFのベスト1を選べと言われたら、多くの人が迷いなく選ぶであろうハードSFの金字塔。日本での初刊行から35年の時を越えて、いまだに読み継がれているのは、科学的なガジェットに彩られた重厚なストーリーの展開と、あまりにも意外な結末の故であろう。

 

 最近、コミックス化されていたのをちらっと見て、久しぶりに読もうと思ったが、家のどこにも見つからず、やむなく購入。初版でもっていたのに、どこに行ったのだろう(残念)。

 惑星間宇宙船内での会議の最中に、考えを巡らす間を取るためにたばこをくゆらせていたり、コンピュータのモニターがブラウン管だったりと、リアルではすでに物語内の状況を追い越していることろもある。遠隔データ転送網(=インターネット?)や腕時計型の携帯端末など、SFとして登場していることが現実化しているところもある。

 しかし、それらを越えて、いまだ古さを感じさせることがないのは、月面で5万年前の人類の人骨が発見されるという、荒唐無稽なスタートでありながら、その謎を解きほぐす過程にとても説得力があるからだと思う。

 

 1冊読んだら、そのまま勢いで、続編「ガニメデの優しい巨人」も一気読みし、さらに3部作完結編「巨人たちの星」に進んでしまったのだった。

2012年9月 1日 (土)

リッツカールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣(高野登)

 リッツカールトンが日本で開業した当時、日本支社長を務めていた筆者が、リッツカールトンマジックを可能にする言葉を、さまざまに紹介する1冊。

 すべての言葉は、お客様を心からおもてなしするという心に裏打ちされている。どうしたら、こういう心が大人の間で共有できるのかも、知りたいところだ。

 ここに紹介されている言葉を、われわれの仕事にそのまま当てはめることはできないが、言葉を交わすときの心の持ちようには共通する部分が大きい。リッツカールトンクオリティのホスピタリティで子どもや保護者と接する学校があったなら、素敵な学校になるだろう。

 見学したことはあるけれど、残念ながらまだ一度も宿泊したことのないリッツカールトン。読むばかりではなく、一度は体験してみたいものだ。

2012年8月23日 (木)

今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編) (文部科学省)

 基本的な考え方から、実践事例に至るまで、総合的な学習の時間の実践の目的、内容、方法を指南する、総合的な学習の時間の原典となる本。

 改訂の趣旨、学習活動の構成の仕方、などの基本的な考え方から、実践を充実させるための組織作り、研修の仕方、年間計画の考え方など、本書を読むことで、生きて働く総合的な学習の実践を行うにはどうしたらよいかが分かる。

 具体的な指導事例もたくさん示されている。理論も実践も両方分かるようになる、優れ物の1冊だった。

言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】

 現行指導要領では、言語活動の充実による思考力、判断力、表現力の育成が、随所で謳われている。

 本書では、その考え方、各教科における発達段階に応じた具体的な指導内容や、指導方法が示されている。

 言語活動を取り入れた指導を行う際の、カリキュラムの構成の仕方や留意点など、指導事例(簡単な指導案)とその解説など、具体的に授業をイメージしながら読むことができる、優れ物だった。

 この夏、文部科学省の本をかなり読んだが、それぞれの本が、或いは、本と本の間で首尾一貫していて、全くブレがなかった。当然と言えば当然なのだが、それでもすごいと思った。

 わかりやすい授業を行い基礎となる知識・技能を定着させること、思考力・判断力・表現力を育成すること、探究的な学習を総合の時間に行うこと、そういう理念が前回指導要領では十分理解されなかったことなど、前回の反省と理念の周知があちらこちらににじみ出ていた。

 全国の先生方に理解して欲しいという、文科省の強い願いが伝わってくるようだった。

 残念ながら、この本は、品切れの様子。各校に1冊ずつぐらい、購入されていればよいのだが。

【追記】8月27日現在、この本は「在庫あり」になっている。購入するなら今だ。

生徒指導提要(文部科学省)

 文部科学省が生徒指導の有り様を体系的、網羅的にまとめた、我が国の生徒指導の原典となる書。

 ここでいう生徒指導とは、問題行動に対する対応等の狭義のモノではなく、教育活動全般で児童、生徒の健全な成長を支えるために全教育活動で行われる広義の生徒指導。

 

 本書では、子どもにとってわかる授業を実践することによって、子どもの居場所を学級に作ることを冒頭に取り上げ、指導要領の実施によるわかる授業の実現が、すべての源であることを示している。

 軽度発達障害などの発達に対する学術的な知見が、発達段階ごとに整理して示されているなど、生徒指導に関して必要な情報が広く集められていて、読むだけでもためになる。

 

 学校種に応じた生徒指導の進め方も、実践的に示されている。教師ならば、一度は読んでおきたいものだ。

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